テレクラ８０’ｓ～ＭｙＭ第二話

ＭｙＭ第二話

そのテレクラは雑居ビルの３階にありました。
少々無愛想なお兄さんに会員書とコースを告げて料金を払い、
部屋番号の書いた用紙をもらって指定された部屋に入ります。
部屋と言っても上部の開いた一畳くらいのスペースに、
机と椅子が置いてるだけのものです。
しかし、私にとっては、その殺風景な、それでいて、妙に落ち着く。
そんなテレクラならではの独特の雰囲気が妙に気に入っていました。
部屋に入り、電話のオンフックボタンを押して、コールを待ちます。

創世記のテレクラは、電話がかかってくると一斉に個室の電話が鳴り、
それを早い者勝ちで取る。いわゆる早取りが主流でした。
しかしながら、フックの連打など早取り攻略法が登場してくるに従い、
間違えて電話を切ってしまうなど、問題点も発生してきました。
そこで、貴重な女性からのコールを守るという観点から、次に生まれてきたのが、
店員がコールを受け、相手の希望や順番を考慮して男性に繋ぐ取次ぎというシステムでした。
その後、コンピューターシステムの発展に伴い自宅でもテレクラを楽しめるツーショットが生まれ、
そのシステムを店舗で使うコンピュータードッキング式を採用する店も増えました。
このテレクラはそのコンピュータードッキング式を採用していました。

オンフックと同時に曲名はわかりませんが、
これからあるであろう出会いを象徴するかのような
ラブソングが流れてきます。
そんな音楽を聴きながら、私はひたすらパソコンの画面を眺めていました。

出会いのツールとして、一時期は一世を風靡したテレクラでしたが、
今はＷｅｂを使った出会い系サイトに押されて、しかも風営法の影響もあって、
最近ではその数も減少傾向にあります。
そんな時代の流れもあってか、このテレクラの個室にはパソコンが設置されていて、
その店が運営している出会い系サイトを無料で使うことができました。
電話でつながる不思議な出会いに心をときめかせていた世代の私にとっては、
少々哀しい気もしますが、これも致し方ないことです。

続く

※題名は課題です。

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